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アニサキス症 より安全なサバは?

アニサキス症 より安全なサバは?

最近アニサキス症が増えています。魚を扱う人たちがアニサキス症の事をあまり知らなかった30年以上前、保存技術の向上で遠くからの魚を生で食べることが多くなった時期に、アニサキス症が増えました。私もその頃アニサキス症になりました。その頃たくさんの患者さんのアニサキスを内視鏡で摘出しました。現在の魚を扱う人たちはアニサキス症の事を良く知っています。その人たちの80%以上がアニサキスがいる魚を見たことがあるそうです。

魚に寄生しているアニサキスの幼虫(白くて2~3mm×0.5mm)を生きたまま食べて、消化管などにアニサキスが刺入して起きる病気です。胃、腸、腸管外にアニサキスが刺入します。そこで症状が出たものが、それぞれ、胃アニサキス症腸アニサキス症腸管外アニサキス症です。

本来寄生するのは、クジラ、イルカ、アザラシなどで、これらの胃に寄生して卵を産みます。この卵が海中に排便され、それをオキアミなどが取りこみ、そこで幼虫になります。幼虫のいるオキアミを魚が食べ、内臓に幼虫のまま寄生します。その魚をクジラなどが食べて胃の中で成虫になるのを繰り返します。アニサキスが寄生した魚を人が食べて、アニサキスの幼虫が刺入して発症します。

アニサキスは、本来の寄生しない人の内臓では生きられないので、消化管の壁を破って外に出ようとして消化管に刺入します。ほとんどは胃の中で刺入しようとしますが、胃壁は厚いので、頭だけ胃壁に突っ込むことが多いです。たまに深くまで刺入してそこで死んで肉芽腫(にくげしゅ)になることがあります。肉芽腫とは、アニサキスを異物とみなして、それを包み込むように腫瘍のようになるものです。胃の壁を貫き、腹腔(ふくくう)に出て肉芽腫を作ることもあります。これが腸管外アニサキス症です。腸では胃より壁が薄いので、胃より腸管外アニサキス症が多くなります。

腸管の粘膜は痛くありません(内視鏡で病理検査のため粘膜を採取しても痛くない)。しかし、胃アニサキス症では、魚を食べてから1日以内に、多くは10時間以内に激痛が出現します。私が胃アニサキス症になったときは鎮痛剤や胃潰瘍の薬などは全く効果なく、虫体を取るまで4日間激痛に苦しみました。この痛みはアニサキスによるアレルギーの反応ですアニサキスに感作(アニサキスアレルギーを参照してください)されてない人では痛みは出ません。感作されている人にアニサキスが刺入すると、そこでアレルギー反応が出現し疼痛物質が作られます。腸アニサキス症では、食後数時間から数日で、下腹部痛、嘔気、嘔吐などの症状が出現されます。腸管外アニサキス症では、肉芽腫による腸閉塞を起こすことがあります。

90%以上は胃アニサキス症です。治療は内視鏡で虫体を除去するのが一番です。私の時は、除去したらかなり速やかに痛みは消失しました。小腸アニサキス症大腸アニサキス症では、容易に内視鏡検査できないので、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、ステロイドなどの投与の保存的治療することが多いです。1週間くらいで虫体が死んで症状が消失します。

アニサキスは、魚の内臓に寄生していますが、魚が死ぬと速やかに筋肉に移行します。その筋肉を食べてアニサキス症になるわけで、速く内臓を処理した魚のほうが安全です。筋肉では、腹身(魚の下腹部、ハラミ、ハラス)に多くいることが多いです。マイナス20度で24時間で死滅します。60度で数秒で死滅します。保存法、調理法に気を付けて下さい。酢、しょう油、薬味では死滅しません。傷付いたアニサキスはアニサキス症を起こしにくくなりますが、良く噛んでも、なかなか傷つきません。(内視鏡でアニサキスを機械(鉗子)で掴んでも傷つかない) 

アニサキスは形態から10種類以上に分類され、そのうち人から検出するのは3種類います。その内で1番多いのが、Anisakis simplex で、これがさらに3種類に分類されます。その3種類中日本では、Anisakis simplex sensu strict(アニサキス・シンプレックス・センス・ストリクト)Anisakis pergreffii(アニサキス・ピグレフィー)の2種類が多く、前者は九州から三陸沖の太平洋系、後者は東シナ海から日本海沿岸の対馬暖流系に生息します。前者の方が100倍筋肉に移行しやすいので、前者がアニサキスの原因になることがほとんどなので、太平洋系で取れた魚はより注意が必要です。

原因の魚は、西日本、関東周辺では、サバ、イワシ、アジ、カツオ、キンメダイ、北海道ではタラ、ホッケ、サケ(以前はイカが多かった)。一番多いのはサバです。クジラ、イルカが少ない、”根つき”のサバはアニサキスが少なく、養殖魚では冷凍オキアミなどを使用するので、養殖魚にはアニサキスの寄生は大変少ないです。

 

投稿日:2018年11月1日
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