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掌蹠膿疱症とビオチン(ビオチン、ビタミンB7、ビタミンHとは何でしょう)

掌蹠膿疱症とビオチン(ビオチン、ビタミンB7、ビタミンHとは何でしょう)

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)”という病気を知っていますか。手掌と足底に小さな水ぶくれがたくさん出現し、良くなったり、悪くなったり、季節的だったり、何年かごとだったりします。自然に治ることもあるので医者に行かないこともあります。中には、ステロイドの軟膏だけで何年も治療されている患者さんもおられます。掌蹠膿疱症は全身病の一部の場合があり、知らないうちに全身に病気が拡まってしまう患者さんもおります。

 治療の基本は、外用薬である、ステロイド軟膏、ビタミンD3軟膏。内服ではビタミンA誘導体の他、症状緩和のために、抗アレルギー薬、非ステロイド抗炎症薬などです。患部に紫外線を当てる治療もあります。昔は患部に薬を塗って紫外線を当てるPUVA療法でしたが、時間もかかり、水ぶくれや色素沈着の副作用があります。現在では紫外線の波長を変えた、ナローバンドUVBエキシマライトなどがあります。しかし、完治せずに病院に通い続ける患者さんもおられます。

 原因ははっきりと分かっていませんが、喫煙者に多く(男性70%以上、女性90%以上)、特に中年女性に多いです。どこかに慢性的に感染を起こしている、“病巣感染”がある場合(扁桃、歯周、畜膿、虫垂など)があります。銀歯などが原因になることがあり、その抜歯で完治する患者さんもいます。病巣感染の治療で改善される患者さんもおられます。また、扁桃との関係が強く、扁桃を摘出すると完治、改善される患者さんが多くみられ、症状が中等症以上の患者さんは、扁桃摘出で90%の効果があるという報告があります。また、後述するビオチンとも関連があると言われてます。

 掌蹠膿疱症は、皮膚科疾患だけでなく、全身の疾患の一部の場合があります。(だから扁桃摘出で改善する患者さんがいる) 関節の痛み(関節炎)が10~30%みられ、その多くは鎖骨の内側の端(喉の下方の左右)の周囲(胸肋鎖骨関節)に起ることが多いです。脊椎、腸骨、大腿骨、膝、手指に起ることもあるので、別々の病気と思われることもあります。中には、“SAPHO症候群”という、掌蹠膿疱症と関節や骨の炎症、関節の骨化、にきびなどが起きる病気もあります。この病気の患者さんが扁桃摘出で90%近く改善した、いう報告もあります。

 どうしてかは分かってませんが、”ビオチンの投与で掌蹠膿疱症が完治した、改善されたという患者さんがおられます。私も経験があります。掌蹠膿疱症の患者さんは、ビオチンを使用してみることをお勧めします。

 ビオチンとは、ビタミンB7とかビタミンH(ドイツ語の皮膚の意味、Haut)とも呼びます。腸内細菌が作ってくれるので欠乏することはまれです。卵白のみを蛋白源としてたくさん摂取する人は注意が必要です。卵白の“アビジン”という蛋白がビオチンと強く結合してビオチンの効果を消してしまいます。そのため、皮膚炎、疲労感、筋肉痛、食欲不振、味覚異常、神経障害などのビオチン欠乏症の症状が表れます。生卵で卵黄と一緒に食べれば、卵黄の中の豊富なビオチンと結合するので、腸内のビオチンは影響されません。また、アビジンは熱で結合しにくくなりますが、ビオチンも変性して効果がなくなります。 半熟にすると、ビオチンは破壊されずにアビジンの結合力のみ減少します。卵からビオチンを摂取するには半熟にすると良いでしょう。

手足だけでなく、全身に出る場合は、”膿庖性乾癬”という難病(特定疾患で公費助成負担の対象)かも知れないので、専門の皮膚科への通院をお勧めします。

投稿日:2018年8月17日
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